パパラギ東京店 ブログ

ジメジメと梅雨っぽくなってきた今日この頃、ホームゲレンデの富戸の海に遊びに来ました。
あっという間にやってくる夏に備えて、水中では着々と準備が進んでいます。
前日までの予報と裏腹に青空が垣間見えて気温は25℃、水温は18-19℃でまだまだドライでは暑く、ウエットでは冷たいコンディションです。
ロクハンやセミドライ、またはてるくん以外はまだまだドライスーツが安心です。

透視度は8mほど。いわゆる“白っぽい”感じですね。
4月末からの透視度の推移から思うに、4月末に壊滅的に落ちたのち、クロシーオ効果で劇的に回復。水温も上昇。
この4月末の悪化は緑色の海なので植物プランクトンが原因でしょう。
5月中頃から今にかけて再び落ちたのは白っぽい海の色なので、これは水温が上がり溶け出した海藻や植物プランクトンなどの植物だったものの残骸が浮いているのかと。
これからさらにクロシーオは接近し、海水温が上がるのと同時に植物だったものがさらに溶け出していくことでしょう。
つまり白っぽさは水温の上昇を意味し、冬の海藻の世界を南国へ一新する自然の大転換の現れではないでしょうか。

冬から夏へ。刻々と進む偉大な海の移ろいに置いてゆかれまいと、生物たちも夏に向けていそいそと支度を進めていました。

浅場のクロホシイシモチはどこからともなくいつの間に集合していました。
まだペアにはなっていませんが、今年も産卵と口内保育はじっくり狙えそうです。
今はきっとお互い品定めをしているんでしょうね。目がギョロギョロしていましたから。

ソラスズメダイは禿げた岩の上でじっとしている個体が増えてきました。
きっと産卵床が整ってメスを持っているんでしょう。
ひゅっと巣穴に隠れると岩壁をせっせとついばんで掃除をします。
「緑がかった婚姻色も、生まれたての透明な個体ももう時期見れそうですね。これも婚姻色っぽいですね。やる気ある感じじゃないですか。薮さんがピンク着てるみたいな感じですよ」ってスズメダイマスターの伊東さんが言ってます。
真夏にソラスズメダイが増えるまでの過程を追いかけるのも面白いかもしれません。

無視しがちなオハグロベラ。ドラクエの敵みたいで顔が面白いけど無視しがち。
オス同士の喧嘩になると体色を真っ黒に変え、ツノまで立てて急に悪魔っぽくなるけど無視しがち。
そういえば去年のサンセットダイブで初めて産卵してるとこ見たけど無視しちゃった。
初夏の産卵に向け、彼らも縄張り争いの季節を迎えました。今年は無視しないであげましょう。

すっかり数少なくなってしまったクマノミのコロニーは無事に夏を迎えられそうです。
うねりに合わせてイソギンチャクとゆらゆらと。あと何回揺られれば夏が来るのか。そんなこと考えているんでしょうか。
昨夏はまだ小さかった個体がもう立派に。このコロニーには全部で3匹のクマノミが暮らしています。
3番手のこのクマノミはこの夏どうなることでしょうか。夏の大三角関係、お見逃しなく。

アオリイカの産卵は第一波が到着した模様です。
3ペアほどでしたが元気に産卵しています。ここで生まれた子供たちが、夏には隊列を組んで浅瀬の空を泳いでいるように見られます。
その光景は、子が生まれる時に親はもういないので「あの時の子がもうこんなに立派になって…」と自動的に親戚の気持ちになれる特典付きです。

産卵をすると親は寿命を迎えます。
寿命を全うできれば良いですね。気をつけないと産卵の瞬間を捕食者が狙っています。
ウツボはじっと茂みに隠れて目を光らせています。アオリイカはすでにあるタマゴのところにまた産みにくることを知っているんですね。

夏から冬への転換に比べて、冬から夏への転換の方がドラマチック。
しかも生態観察は夏前が一番面白いです。
今年はどのドラマを追いかけますか?
ホームゲレンデがあるって良いですね。