パパラギ東京店 ブログ

いや〜、濃ゆいブログが続きますなあ〜笑
文庫化決定!しないか。

前に魚の婚姻色を調べてた時に、ソラスズメダイの話も出てきたかな?
流石の伊東さん、生態写真撮らせたらピカイチ!よし、撮ろうで撮れるものじゃありません。それもコンデジで撮ってんだから驚きです。
いつか一眼のキレと色再現を手に入れたらウハウハです。さあ経済を回そう!笑

これからの時期は、オハグロベラの体色変化なんかも見ものですね。
薮崎の体色変化ブームは、結局透明人間にはなれないという事がわかり、失意の中終わりを迎えました。

なので、
体色変化の構造は伊東さん
ベラの生態は宮本くん
にそれぞれお問い合わせください笑

さて、金曜日の薮崎、いってみましょう〜。

前回遡った河津川。川の始点までは追えましたが水源までは追えず。
とは言え世の中便利なもので、ヤホーで検索するとすぐ調べられます。

 

真相1:伊豆半島の水源に迫る

河津川の水源はどうやら「天城連山」にあるようです。
そう、天城越えで有名なアレです。

この写真の右手に広がるのが天城連山。
天城山というのはなくて、伊豆半島の最高峰、万三郎岳やそれにつづく万二郎岳など連なる山の総称です。
伊豆半島のほぼ中心に位置するため、半島内を移動するにはこの天城連山を攻略せねばならなかったのはよく知られていることですね。
どれも伊豆半島が本州に衝突してから噴火をした荒くれ火山たち。まさに伊豆半島の屋根です。

それじゃ、ひとまず行ってみますか。向こうに見える山まで、瞬間移動!

ここは万二郎岳の山頂から少し離れたところ。
森、駿河湾、富士山が見えますね。
前のめりに傾斜があるのは、万二郎のカルデラです。噴火口ですね。
今では見渡す限りのブナの原生林が広がります。実はこれが凄い。
ブナの原生林といえば世界遺産・白神山地が思い浮かぶでしょうか?
世界遺産になるブナの原生林、一体何が貴重なんでしょうか?

 

真相2:伊豆半島の水源が特別な理由

ブナは“マザーツリー”とも言われ、森の生態系を豊かにする重要な役割を担います。
ブナの実は森に生きる生き物たちのご馳走になり、入り組んだ根は土壌をしっかりと固定させ、さらに落ちたブナの葉はなかなか分解されず絨毯のように森を覆い尽くします。この絨毯が本当にフッカフカ!

おかげでブナが作る土壌は貯水力抜群。何と一本で8tもの水を保水できるといわれます。
そしてブナが支える豊かな生物活動の痕跡、栄養分も一緒に蓄え、ブナの森から流れる水はまさに命の水となるのです。

へえ〜、すごい貯水量を誇る山だったんですね〜。
でも雨が降らなきゃねえ。ん?降ってるの?

ってなわけで、今度はグルグルで検索してみたところ、何と天城連山の雨量観測地点では、屋久島の観測地点に匹敵するほどの雨が降っているんです!
屋久島の観測地点は山にあるわけではないと思うので、厳密に比較はできませんが少なくとも国内で最も雨が降っている場所の一つということ。

河津川の水源地では凄いことになっていたんですね。
ちなみに、天城連山に水源を持つ最大の水系は、駿河湾に流れ込む狩野川です。
きっとすんごい栄養たっぷりな川なんでしょうね。

山から駿河湾に流れ込む「水」…山ねえ…山…
ところで目の前に見えてる富士山はどうなんでしょう?

 

真相3:春濁りには富士山も一枚噛んでいる?

なんと、ありましたよ。
富士山に降った雨が、地下水脈として集まり湧き出す水源。「柿田川」。
場所は三島市。よし、いってみよう!いよっと!

冷たい!流れが速い!
これ、日本三大清流の一つです。
湧水っていうからもっとおしとやかなものかと思えば、水草がなぎ倒されるほどの水流。
富士山に降った雨が10~20年の時を経て湧き出します。その量なんと100万t/日。
ちなみに、この柿田川も海にたどり着く直前で狩野川に合流します。

つまりは、富士山と天城連山という日本有数の水源を持つ狩野川の、栄養満点の「水」が駿河湾に一気に流れ込んでいるんですね。

駿河湾のサクラエビが他と違って甘いとか
伊豆半島の春濁りは西伊豆から始まるとか

全部狩野川の影響かも知れませんね。
最近、春濁りらしい春濁りが無くなったなんて言いますが、それは海の変化ではなく、山や川の変化なのかも知れません。

 

真相4:命のフィクサー「湧水」

森と海はつながっているんですね。
山の恵みは、川や湧水で海へ届けられます。川だけじゃなく湧水ね、湧水…。

っぬあ!そう言えば!

ヨコバマにもありました。湧水。
分かります?画面中心よりに砂が小さく巻き上がっています。そのまま上に目を移すと水がゆらゆら 揺らめいています。
ヨコバマのエキジットスロープの終わりから、沖に向かって右に5歩、沖に3歩。そこから大体半径10mくらいの場所で撮影しました。

実は以前、パパラギではヨコバマにて大規模な湧水調査を行ったことがあります。
その時は主に港内の調査でしたが、ヨコバマ側にも一定量の湧水があることは間違い無いです。

ちなみに、前回紹介した宮古島のカヤッファビーチのサンゴ礁。

サンゴが隆起してできた宮古島自体が濾過装置となり、綺麗な湧水が滲み出ていることでしょう。
川がないから、ではなく、湧水があるからと考えた方がしっくりきます。

以下、薮崎の仮説です。

ヨコバマやカヤッファビーチの様な、水深が浅く波の影響が少ない地形をしていると、波の影響がないためイソギンチャクやサンゴが定着しやすい。
ところが、一度栄養塩を豊富に含んだ海水が入ってくれば、海水温が上がりやすいことも相まって一気にプランクトンが増殖。
光合成不良、酸欠に陥る可能性が高い。
はい、そこで湧水。
湧水は水温がほぼ一定。浅い海の水温が異常に高温になることを防ぎます。
さらに塩分濃度の違う、比重の違う海水は混ざり合うことがありません。
つまり、外洋から、もしくは離れた川から栄養塩に塗れた海水が流入しても、浅場は湧水による比重の軽い海水がとどまることで富栄養化を防ぐバリアに守られます。
ヨコバマで水慣れをする時、やけに透視度が良かったり海水が冷たく感じるのがその証拠です。

ヨコバマのイソギンチャクは、湧水のおかげで脅かされる要因から守られているのではないでしょうか?

 

これは、ヨコバマに流れ込む湧水には栄養が無い(少ない)ことを前提にしています。
湧水には有機物を多く含んだ青汁みたいなタイプ(きっと川か川に近いスピードで海に到達する)と、アルプスの天然水的な濾過されて有機物の少ないタイプがあるはず。
この青汁系とアルプス系を、どこにどう流すかで沿岸域の生態系が大きく変わるということです。

極端に言えば、
青汁系=海藻もりもり
アルプス系=サンゴもりもり
ということ。

みなさん、それぞれのもりもりなポイントを想像してみてください。
田子は?串本は?江ノ島は?
Google マップで見るとよく分かります。湧水は上から見ても分かりませんが、川はよく見えます。

黒潮のおかげ、親潮のおかげとはよく言いますが、本当にそうでしょうか?
波打ち際までその影響があると思いますか?

きっと、ぜーんぶ湧水。
番外編ですが、伊豆半島を離れたら

岩手県のサケ。これも。

岐阜県のオオサンショウウオ 。これも。
どれも湧水が見えないところで暗躍していました。
詳しい話はまた今度。

湧水は作り出す環境に合わせて姿を変え形を変え、生態系をデザインしています。

と、考えています。

正しいのかどうかは分かりません。
あちこち行ってみてどうやらこういうことでは?と感じた次第でございます。
何かの本には答えがサラッと書いてあるかも知れません笑
でも部屋で本を読むより、カメラを持って出かける方が得意なもので。

自分の目で確かめに行くって楽しいですよ〜。
連れ出されるカメラには苦労をかけていますが、良き友ですな。

次回は「カメラ」の話でもしようかな〜。
短めに笑

 

明日は、木村さん!
先週はネタばらしの大失態笑

う〜ん、でもきっと「好きな中圧ホースの長さ」ではないでしょうか?
熱く語ってもらいましょう!

お楽しみに〜。