パパラギ東京店 ブログ

こんにちは〜。

東京店ブログリレー日曜日担当の宮本祐です。
木村instをダイバーにした者です。責任感じてます。責任とります。

本日は魚が作る「群れ」について。

ーーー 群れ【むれ】…同種の個体同士が相互に誘引し合うことで構成された集団 ーーー

まるでBBCやディスカバリーチャンネルで放映されているドキュメンタリー映像の中に自分がいるかのような景色は、僕らダイバーの心を掴んで離しません。

今回は、そんな群れが持つ魅力とナゾを解明して行こうと思います。

では早速!

1.なぜ群れるのか?

はい、これは簡単ですね。自身の身を守るため。
小魚が集まって大きな群れを作り、全体として大きな生物に見せかけて捕食者の攻撃を避ける。絵本のスイミーと一緒です。

これを「幻影効果」と言います。

小魚たちによって瞬時に形成される群れは本当に美しく、いつまでも観ていられます。
絵本のスイミーを想像すると、群れをなす小魚たちはみんな仲が良く、互いを守りあっているように見えますが、実はその逆なのです!

各個体は自身が捕食されないよう、群れの内側・後ろ側に入り込もうとしているため、ギュッと集まった群れが瞬時に形成されるのです。

群れを観察するときは、内へ内へと入り込む様もご一緒に観てくださいね。

内へ内へ。厳しい生存競争。

しかしここで安心するなかれ。
群れによる保身効果は、実はこれだけではないのです。

捕食者が小魚の群れを警戒し攻撃をためらう様子は、水槽内でも確認されており、もちろんそれは自然界でも同様。
しかし、中には警戒せず攻撃を仕掛ける捕食者もいます。

その途端、小魚たちは爆発したように散り散りになり、捕食者は方々に逃げる小魚を追って攻撃対象を絞り込めず、右往左往させられる。

これを「混乱効果」と呼びます。

夏〜秋・冬の伊豆では、小魚に攻撃を仕掛ける捕食者の姿もよく観られます。
泳いでいる最中は、少しだけ水面や遠くも観てみると混乱効果を間近で見られることも!

獲物を追うカンパチ。秋はこんな景色でいっぱい。

他にも、サケが海を大回遊したあと、生まれた川に戻ってくるための方向判断などにおける情報量増大効果や、群れの前を泳ぐ魚が作る流れに乗れる、といった水力学的効果などもあり、群れを作るメリットはたくさん。

スピード感は圧巻!


2.どうやって群れるのか?

「泳いで」とかじゃないですよ笑
実は群れには3種類あり、

①お互いが身を寄せ合うような集まり方を  → 魚団
②ただなんとなく集まっているだけの状態を → 群がり
③整然とした、統一性のある集まりを    → 群れ

と定義しています。
では、どうやって「群れ」ているのか?

それは、①互いを仲間と認識して接近し、②前を泳ぐ仲間についていく、というものです。

なんて簡単な仕組み。前を泳ぐ魚についていくだけって笑

しかし、ここで面白いのは「互いを仲間と認識して」ってとこ。
魚の視力って、実はそんなに良くないんですよ。
ブリやマアジでも、人間でいう0.1くらい。

だから、うっかり間違っちゃうこともしばしば。
よーく見ると違うやつが混じってるんです。

ネンブツダイの中のソラスズメダイ。バレバレですね(笑)

魚種やオスメスの見分け方がわかると、ここら辺はもっと面白いんですよ。
さぁ、図鑑を買いましょう笑

違いがわっかるかなー?


3.何でぶつからないの?

僕らダイバーは、泳いでたらバディにぶつかることもしょっちゅうですよね笑
魚たちはあんなにたくさんで泳いでいるのに、ぶつからないんですよ。不思議。

その秘密は、魚が持つ第六感「側線感覚」にあります。

生物は視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の、いわゆる「五感」を持ち、周囲を認識しています。
魚も例外ではなく五感を持ちますが、プラスワンの感覚を持っているのです。

この側線感覚は、「身体のまわりにある水の動き・圧力を感じる感覚」です。
これにより、魚たちは衝突することなく移動しているのです。

大型の魚には、外から見てはっきりとわかる器官なので、じっくり見てみるのも面白そうですよね!

バラクーダ。さぁどれが側線器官でしょう?

じゃあじゃあ、魚は何を見ているの?
音がどう聞こえているの?匂いは??

などなど、海中生物へのナゾは尽きませんね。うーん面白い。

海の生物たちが、周囲をどう感じているのか。
もっともっと詳しくお話しさせていただきたいですが、それはまた今度。
どんなナゾがあるのか、皆さまへの宿題にしておきますね。

さて今回、群れのナゾが解けた今、皆様へひとつお願いがあります。
それは、ナゾの正体を実際に観て欲しいんです。

−−「知ること」は「感じること」の半分も重要ではない。  レイチェル・カーソン −−

パパラギスタッフは、皆さんとの感動を共有したくてウズウズしています。
この夏は、皆さんの思うナゾの答え合わせに、ぜひ海で一緒に感動させてくださいね。

さて、次回4/22(水)のミステリーハンターは栗原(健) instです!
どんな「センス・オブ・ワンダー」を観せてくれるのか!?
お楽しみに!

宮本でした〜。

一緒に感動しましょう!